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富士山に1度も登らぬ馬鹿、2度登る馬鹿といわれるが


富士宮口からの挑戦

 去年はともかく苦しかった。これではいけない。楽しく登りたい。そのためには日頃のトレーニングしかない。まずは体重を夏までにあと6Kg減らそう。そこで、自転車乗りとプール通いを心がけることにする。3日坊主にならないように、女房と一緒にやろう。(うちの奥さんはこういうことは偉い。そんな事してどうするんだというようなことをよくやっている。毎晩寝る前には体操をしているし、エアロビクスに通ったり、健康管理は努力しているから、骨の状態は平均値より遙かに良い。が、自慢ではないが村の健康診断では私の方が検査の成績は良い。何の努力もしないのに成績は良い、これは学校でも昔からだ。要するに要領がよい。しかし、富士山は要領では登れないのだ)

2月1日 さぁ訓練開始だ。だが、天気が今一なのでもうちょっと後にしよう。

2月15日 まだ訓練は始まらない。体重は1kg増えた。まずい・・・3日坊主といわれても始めた方が偉い。

 とかなんとか言いながらついに決行の日が来た。

7月5日 いよいよあすは富士登山の日だ。天候はこれから3日間曇りときどき晴れとのこと、まずまず。ただ運動不足は前よりひどい。体力に自信は持てない。こうなれば暗示だ。絶対大丈夫、ゆっくり登ってにっこり山頂に立つぞ!
 今回は一緒に登るのは、甲斐大泉の福居さん、南アルプス白州の井波さん、そして設計をいつも頼んでいる田山建築環境計画の田山さん、それと、昨年同様、ガイドブックの編集をしているシマウマクラブのカメラマン石川さんだ。

7月6日 何しろ私たち夫婦は2度目だ。いや、結婚じゃない富士登山だ。だから、余裕がある。前の日からちゃんと寝る。昼間から仮眠もとる。夕食だって、ウナギとかステーキとかじゃなくて、ほうとうとおじやにした。山中湖にはおいしいお店があるから、予約しておいて6時半に食べに行った。うますぎて食べ過ぎかと思ったが、すこぶる消化がよいので大丈夫。食後のコーヒーもやめて万全の体調で富士宮口新5合目に向かう。山中湖から約1時間で着いた。心配していた駐車場はがらがら。ゆっくり装備を点検しながら軽く体操をして時を過ごす。3〜40分後、いよいよ出発だ。時は夜9時50分。ガイドによれば山頂まで4時間半となっているから、まぁ6時間見ればよいだろうと言う計算だ。さらりと(でもないか)書いているが、この中に昨年の失敗を反省して研究した成果がにじみ出ているのが賢明な読者にはわかるだろう。


富士宮新5合目の駐車場で出発前の記念撮影
左から田山氏、私、妻、井波氏、福居氏


 結論から言っておこう。少なくとも私に関しては、今回は楽だった。ラクショウ富士登山というタイトルにしようかと思ったくらいだ。唯一「嘘だろう!」と動揺したのは9合5勺の地点だ。それはともかく


 
河口湖口との比較をどうしてもしてしまうが、個人差があるといっても、登山そのものはこちらの富士宮口の方が楽だと思う。(ただし、私自身が2回目の慣れもある)
 その理由は、高度が標高2400mと100m高いところから出発する。
       突風に見舞われることが無く安心である。
       足場は岩ででこぼこ(後の写真を見てください)なのが難点だが、河口湖口のように砂でずるずる滑りながら登るストレスに比べると一歩一歩確実に歩けるのは気持ちがよい。というわけで一気に高度を稼いで登れるのだ。膝に問題のある人には向かないが、そうでなければ楽しく登れるかも知れない。この辺は個人差が激しいだろう。人によってはこのコースは厳しいという。
 山小屋の数が少なく俗化していないというかさびれた印象、だが、自然を満喫するのにはよい。河口湖口では山小屋がたくさんあり、近くまで来ると発電器の石油を焚くにおいと音が気持ち悪くて不愉快だった。
 しかし、混んでいてもどこでもご来光を仰げるという利点は河口湖口の最大の売りだ、これも捨てがたい。それに富士山の南側はガスがかかりやすく天候の悪いことが多そうだ。南側は雲で東より北は晴れということも多いのは山中湖からだとよく見える。天候が心配なときは河口湖口から登る方が確実だろう。・・・とうわけで今や7割近い人が河口湖口からの登山をするようになっている。
 富士宮口からご来光を仰ぐためには是非とも山頂に行きさらに10分ほど東に回らないといけない。ただ、これも富士登山は8合目からが勝負、9合目からが正念場と心得ておき、歩き方のノウハウをちゃんと守れば大丈夫。

 登りは5合目の駐車場からいきなり急坂となる。だから、駐車場で空気になれるため休憩しながら、ゆっくりストレッチをした方がよい。最初に筋を痛めたりするとだんだんきいてくる。


6合目「雲海荘」の右横、左に曲がってここが登山道の始まり。ここはちょっとわかりにくいかも。

 後は、凸凹の岩場をずっとのぼるので、手には何も持たず、バランスを気をつけてけがのないように。特に中高年の方は酸欠の状態では平衡感覚を失いやすいのでくれぐれも注意していただきたい。特に夜間登山は注意が必要だ。

 登り始めるとだんだんはっきりとしてくる「山頂」らしきもの、これが実は山頂ではなかった。下から石垣のような白いものが見えるのでこれが山頂だと誰しも思うが、ここは9合5勺の山室である。そして、ここからがきつい。実は私たちは、あまり調子よく登ってきてこのままでは1時間近く早く山頂についてしまうと思ったくらい。気温が低く、ホカロンを持ってくればよかったと思ったくらいで、これで山頂で日の出を待つのはつらいと、この9合5勺の地点でお湯を沸かしてみそ汁なんか飲んでいたのだ。ところが、ガイドでは9合5勺から山頂まで30分となっているが、これが大嘘のこんこんちき。ここでいう30分とは足を上に向かって動かしている実働時間。実際はその倍だけ休んでいる時間が必要だ。3歩歩んで10秒休みというペースで登って1時間はかかる。まぁ後で考えれば、こういうところがあるからこそ達成感もあるのだ。しかし、それにしてもこの最後は段差もありきつい。

7月7日 行ってきました富士山頂!ご来光の写真はこちら

富士山頂のご来光
苦労した甲斐があった。ご来光なんて実は大して興味がなかったが
これも間違いだった。美しい。苦労して登った後だけに涙が出るほど美しい。

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この富士宮コースがどんなところを登るのかを示すために、下山しながら撮影した写真を紹介します。

 富士登山は登りもさることながら、下りがつらいと沢山の人が言う。つらさにも色々あるが、河口湖口の場合はただ延々と退屈なのがつらい。このコースは段差のある凸凹の岩をずっと下るので杖がないと膝への負担がひどい。両手をあけておかないと危険でもある。富士登山は、普通の山の楽しみがない。森林地帯を抜けるわけでも、気持ちのよい木陰も、さらさらと流れる小川も何もない。景色も全く変わらない。休憩する場所がない。次には下りを楽しむ工夫を考えたい(無理か・・・)。唯一楽しみといえば登ってくる元気な人(ふふふ)と挨拶をすることくらいか。

9合5勺

9合5勺の山室をでてすぐのところの鳥居
上が山頂である。すぐそこに見えるが見ない方がよい。
疲れもたまり空気も薄く、苦しい登りだ。
こんなところに1時間近くかかるなんて、写真しか見なければ信じられないでしょう。


8合目から上はこんなところを登ってくる。かなり凸凹の岩場。
8合目から上、だんだん空気が薄く感じる

上の写真では平坦に見えるでしょうが、実はかなりの段差がある。よっこらしょ、よっこらしょと思わず声がでる(若い人は出ないか(^^;))。登りも下りも同じ道だから混むときは大変。

どうしても平坦に見える。写真ではすべてこうなるので富士登山を甘く見る人が多い。


5合目に無事到着

下山途中沢山の登山者とすれ違う。だから退屈もしないし、こっちは登った後だから気楽な気分、むこうはまだ苦労を知らないから気楽な気分、幸せな関係だ。7合目あたりで「頂上はもうすぐですか?」なんて聞いてくる登山者も多い。なんと答えたらいいだろう。8合目まで行ったらそこからが富士登山のスタート。どのコースでも同じ、富士登山は8合目からと肝に銘じてください。