富士登山の歴史と文化

 富士山に登ることは単なるスポーツとして1つの山を征服したという以上の日本人ならではの感慨を与えるものです。これまで何百万人という人がこの山に登り、様々な思いを残しました。富士登山体験をより豊かなものにするために、このページを作ります。


 新企画:写真で見る富士登山の今昔 

70年以上前の絵はがき
 
少しづつご紹介します。

 昔々の富士登山は、富士講信者が心願成就のために行うものであった。文化・文政(1804〜1830)年間には、江戸庶民の間で富土塚を詣でる省略型のものも流行した。山頂をめざす場合、まず1週間かけて水を浴ぴ、身を清めねぱならない定めがあり、入山してからは長く辛い道程を踏破することになる。よほど強い心願をもたない限り、山中に踏み入ることがままならなかったのだ。

1914富士吉田 ■富士吉田市の金鳥居

大正2年8月20日(今から75年前)のスタンプのある写真。正面に富士山を仰ぐ。

富士山頂駒ヶ岳 ■富士山頂駒ヶ岳

山で死ねば人界の罪が清められるという、富士講の人々にとっては富士山は霊山だ。御鉢まわリ、御中道まわりは今でこそ楽しい登山道だが昔は必死行だったろう。やっと山頂にたどり着く。脚絆にわらじ、ミノを羽織るのが定番の服装。

富士登山絵はがき
■金明水・銀明水

富士山に湧く雪解け水の泉、金明水、銀明水。金明水は山頂北東部、銀明水は南東部に江戸時代から湧出が確認されている。現在では浅間大社奥宮の授与品となっているが、明治から昭和の初期までは、水の湧き出るすぐ脇で登山者にふるまわれていた。神社に対して志を納めるのではなく、山に願をかけて火口に賽銭を撒く散銭を行ない、霊水で身を清めたのだ。

←-登山者に銀明水がふるまわれている様子

 60枚以上に及ぶ古い絵はがきをこのページのために特別にお貸し下さった(株)シマウマクラブに感謝します。複製・転載等一切の無断利用を禁じます。

書籍紹介

推薦 婦人画報 アルプスブックス
「富士山と遊ぶ・登る」
    
日本一の山を裸にする百科
    (婦人画報社 1996/17/10刊)

 富士登山で1冊選ぶならこれ。分かりやすく写真も鮮明

串田孫一、今井通子編:日本の名山13.14.15
「富士山 part1〜3」
    
(博品社 1997/1/15刊)

 初登頂、山行記、地誌、植物、文化論など名エッセイを集めている。貴重な写真や絵も入っていて楽しめる。

寺林 峻著
「富士の強力 -小俣彦太郎伝-」
  
(東京新聞出版局 1998/6/30刊)

 カーター元大統領を富士登山に案内した「最後の強力」一代記
「富士山の大きさは誰でも実感できるし、数字でも表現できる。しかし富士山の山襞に秘められた歴史と、この山にかけてきた人間の熱い思いは、色々な伝説や登山習慣を通して伝えていくしかない・・・」


博物館

富士吉田歴史民俗博物館 富士吉田市「歴史民俗博物館」

 富士登山をより豊かなものにするために、ぜひ「富士吉田市歴史民俗博物館」を訪れてください。昔からの富士周辺の人々の暮らし、富士講の貴重な資料など、感動をより大きくする事でしょう。博物館のすぐ下にある「御師の家」(富士講の人々が泊まった宿)も是非見学しましょう。
 (場所は富士吉田市から山中湖に向かう138号線沿いにあります)